2018.02 Updated
ユーザーインタビュー/アサヒビール 酒類技術研究所
アサヒビール 酒類技術研究所 岸本 徹様にお話を伺いました。
アサヒビール 酒類技術研究所
岸本 徹様
ビールの香気成分の分析を行い、香りの品質や強度を分析値として表現していき、その成果によってお客様からの期待を超える商品を提供していくことを目標としています。食品の最終表現型は『味と香り』です。私たちのような食品メーカーでは、一定の高品質のものを大量に製造せねばなりません。そのためには商品の香りや味を分析値で表し、製造工程でその分析値を管理していかねばなりません。また、香りや味の品質を分析値で表現できるようになれば、多種多様な商品の味や香りの"設計図"をスピーディに作成し商品開発を行い、お客様のニーズや期待、市場の変化に速やかに応えることができます。私の仕事は、あらゆる分析装置や抽出方法を駆使し、香りを分析値として表していくことです。
間違いなく「精度」です。誰もが精度を大切にしており、さらにその精度が常に保たれることを求めています。使用している途中に、μLレベルで徐々に精度が狂っていては非常に困りますし、誰も気づきません。教科書的には3ヶ月に1度くらい、マイクロピペットの分注容量を電子天秤で計測するように言われています。mL単位の大きな狂いであれば、その点検方法で自分たちが気づくことができますが、しかし、μL単位の微妙な狂いであれば気付くことは難しいです。実験をしている本人は、マイクロピペットのメモリを信じていますので、その精度が狂うことを夢にも想定していません。
求める機能の2つ目は、メンテナンスのし易さです。どんな研究者でも、間違って、試料や試薬をマイクロピペットの内部まで吸い込んでしまうことはよくあります。そんなときに、すぐに自分で洗浄したり、部品を交換したりして、復帰させねばなりません。ニチリョーさんのピペットは自分たちでも非常にメンテナンスをしやすいという利点があります。以前使用していた他社のマイクロピペットには、精密さを保つために素人では分解できない構造になっているものがあり、誤って内部まで試料や試薬を吸い込んでしまった時には、そのたびにメーカーに送っていました。精密さを保ちたいという意図は理解できましたが、メンテナンスのしにくいそのような構造は私たちが求めるものではありません。
酸と溶媒を使用できるからです。実験において、酸、溶媒以外の物質を量りとることはほとんどありません。実験においては、pH条件や、極性条件を変動させて実験系を組み立てます。pH条件を変動させるときにはマイクロピペットで酸やアルカリの量を厳密に調整しながら添加し、極性条件を変動させるときにはマイクロピペットで溶媒の量を厳密に調整しながら添加します。サンプル試料や試薬を酸やアルカリ、溶媒に溶解せさ、それを分注することもあります。とにかく、マイクロピペットで酸や溶媒を吸うことの方が一般的です。他社のメーカーのマイクロピペットでは、内部の構造に金属や溶媒で伸びる素材のパッキンを使用されているものが多く、酸や溶媒への耐性が無く、大変困っていました。そのようなマイクロピペットを用いたときには頻繁に精度が狂い、使用途中にその精度が狂ってくるのが目に見えてわかりました。
そのようなときに、ニチリョーさんからNichipetEX Plusをご紹介いただきました。NichipetEX Plusは内部構造がPTFEとパーフロロゴム製のパッキンで構成されており、酸や溶媒を使用することができます。周囲からの反響としては、とにかく、「使用を重ねても、容量が狂うことが少なくなった」と、同僚が皆、非常に喜んでいます。そのため、写真のように全てのピペットがニチリョーさんのNichipetEX Plusになりました。
もちろん冒頭に述べましたように、ビールの香りの品質や強度を分析値として表現し、その成果によってお客様からの期待を超える商品につなげていくことを目標としています。そのためには、より精細にビールの香りの品質や強度を分析値として表現することが必要になり、そのためには、より多くの種類の微量な成分を、正確に定量していかねばなりません。そのためには、上記のようなより精度の高い定量と分析が求められ、益々、ニチリョーさんのマイクロピペットへのニーズと期待が高まっていくと確信しています。