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2018.07 Updated

ユーザーインタビュー/京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 妻木研究室

京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 妻木研究室 教授妻木範行様にお話を伺いました。

研究テーマについてお聞かせください

妻木 範行教授

軟骨には成長軟骨と関節軟骨があります。成長軟骨に異常があると、成長障害などの骨系統疾患を引き起こし、関節軟骨に異常があると、運動時の関節疼痛をもたらす変形性関節症が起こります。整形外科の現場では軟骨疾患の治療は難しく、長年にわたりチャレンジングなテーマです。成長軟骨の異常による骨系統疾患に対する治療薬はほとんどありません。その理由として、患者さんの軟骨は貴重で、簡単に採って調べることができないため、研究が進みにくいことがありました。一方、私たちを含めて世界中の多くの研究者が、軟骨の形成・分化に重要な遺伝子の機能を調べる基礎研究を行ってきました。

この基礎研究の知見に対して、iPS細胞開発に伴う細胞リプログラミング技術を応用することで、軟骨疾患患者さんの皮膚細胞や血液細胞を基にして、軟骨細胞を試験管の中で誘導することが可能になりつつあります。

この患者さんの皮膚細胞から誘導した軟骨細胞では、患者さんの軟骨疾患病態が再現することが期待できます。そして、誘導した疾患軟骨細胞を疾患モデルとして、病態の解明と薬剤の探索を行います。

患者さんの軟骨細胞を誘導する方法には、皮膚などの体細胞を一旦iPS細胞に誘導してから軟骨細胞に分化させる方法と、皮膚細胞を直接軟骨細胞へiPS細胞を経ずに誘導する方法があり、それぞれに利点があります。

関節軟骨は膝などの関節の骨を覆い滑らかな関節運動を担う働きがあります。
外傷を受けたり加齢によって関節軟骨は痛んで減ります。軟骨が減っていくと、歩くと痛い、階段の上り下りがつらい、立ち上がる時に痛いとなって日常生活にも影響を及ぼします。関節軟骨損傷に対する再生医療に向けて、軟骨欠損の動物モデルに対してiPS細胞から分化誘導した軟骨細胞を細胞移植する研究開発も行っています。また変形性関節症に対する創薬研究も行っています。

私たちはこれら一連の、軟骨の基礎研究、軟骨細胞を誘導する技術の確立、病態の解明、薬剤の探索を行い、軟骨疾患の治療法開発に貢献したいと思います。

どのような過程でマイクロピペットを使用されていますか?

臨床用の培養した細胞の特性解析でマイクロピペットを使用しております。ニチリョーのマイクロピペットを使い始めたきっかけは、使っていて軽いので長時間使用していても疲れないことと、ロックができるので使用中にずれたりする不安がなくなって安心して使えるという事です。

マイクロピペットのおかげでとても便利になりました。1μLや2μLなどの微妙な容量もマイクロピペットで簡単に扱えるようになり、しかも正確性や耐久性があり非常に使いやすいです。

研究室の中でも、精度を気にしている人は自分でもたまにメンテナンスや計測を行っています。このマイクロピペットは分注量が設定に対して少ない気がするという時は、点検して洗ったりしていますが、ニチリョーのマイクロピペットはメンテナンスが扱いやすいのが非常に嬉しいです。

また、年に1回校正サービスも利用させて頂いております。このサポートによって安心してマイクロピペットを使用しています。今後、マイクロピペットに期待する点として吸い込みを絶対しないようなマイクロピペットができたら嬉しいです。

今後の抱負をお聞かせください

「軟骨細胞の分化制御機構を解明し、軟骨疾患の治療方法を開発する。」ことを目指して、3つの研究テーマを行っていきます。

・1つ目に軟骨細胞の増殖/分化制御機構を調べます。
・2つ目に骨系統疾患の病態を調べ、治療薬を探索します。
・3つ目に関節軟骨疾患に対して、細胞移植による再生医療を目指します。

以上のように基礎研究と臨床研究の両方で成果を出して、軟骨の障害が原因の疾患を患われている患者さんの治療に役立てるように研究したいと思います。

研究室で主に使ってくださっている弊社製品(マイクロピペット)

Nichipet EXⅡ

本体丸ごとオートクレーブ滅菌、UV照射を可能にした
ニチペットシリーズベストセラーモデル

Nichipet EXⅡ:http://www.nichiryo.co.jp/product/pipette/ex/