Select a Region / Language

Asia-Pacific

Europe, Africa, Mid East

Americas

NICHIRYO

トップ > TOPICS > ユーザーインタビュー/東京大学薬学部機能病態学

TOPICS

一覧はこちら

2017.07 Updated

ユーザーインタビュー/東京大学薬学部機能病態学

東京大学薬学部機能病態学  教授  富田 泰輔様にお話を伺いました。

研究テーマについて、お聞かせください。

富田 泰輔教授

非常におおまかに言うと神経精神疾患の基礎メカニズムの理解で、メインはアルツハイマー病です。発症のメカニズムを明らかにし、治療薬を創るのに役立てたい。そういう研究をしています。薬を創ることは大切なことですが、創薬そのものは製薬会社に任せ、我々は疾患の大きなメカニズムの解明を目標にし、日々実験に取り組んでいます。と言うのも、以前私自身が学生時代から行っているアルツハイマー病の研究の中で、自分の発見に基づいた創薬が治験までたどり着いたものの、うまくいかなかったという経験が大きいですね。また、昨年からは自閉症やパーキンソン病の研究も始め、研究対象となる疾患の枠を広げています。

アルツハイマーはなぜ起こるのでしょうか?
他の疾患についてもどのようなことが分かっているのでしょうか?

例え話として、よく「ベッドの下」の話をします。ベッドの下は滅多に掃除しないので、埃がだんだん溜まって、最後にはぐるぐる固まった状態になりますよね。同じようなことが脳の中でも起こっていて、脳の中にもゴミが溜まっていきます。同時にゴミを壊す機能が働いているのですが、年齢と共に壊せなくなって溜まってきて、最終的にはそれが神経細胞を殺してしまいます。ただ、アルツハイマー病では症状が出た時には神経細胞が死んでしまっているので、早期診断が重要になります。診断の基準となりえるリスク因子には、遺伝子によるものと環境によるものが考えられており、それぞれが脳に与える影響を研究しています。さらに予防まで解明できるといいですね。逆に認知症を発症した人に対しては、神経細胞が死んだ後にそれをリカバーする方法を研究していきたいと考えています。

また、自閉症やパーキンソン病はメカニズムの解明があまり進んでいません。自閉症は、分子レベルの研究で明らかにしていきたいですね。パーキンソン病はアルツハイマー病と発症原因が似ていることは分かってきていますが、まだ核となるメカニズムの解明までは発見されていないので、そこを明らかにしたいですね。

このように疾患によって研究の方向性がちょっと違っているのが現状です。

現在でも先生ご自身がマイクロピペットを使用されることはあるのでしょうか?

1年前くらいまでは、細胞を扱うなどしていましたが、最近はデスクワークが増えてあまり実験できなくなりました。ただ、研究室の生物系の実験では基本的に全ての試薬をマイクロリットル単位で使用していますので、マイクロピペットは欠かせません。今はチップを使い捨てできるのが当たり前になっていますが、私が学生の頃はガラスピペットをいちいち洗って使用していましたので、マイクロピペットのおかげでとても便利になりました。さらに1μLや2μLなどの微妙な容量もマイクロピペットで簡単に扱えるようになったのも革新的であり、現在はそれがスタンダードになっていますよね。マイクロピペット無しでは実験ができないのが現状です。

マイクロピペットに求める性能についてお聞かせください。

私は酵素反応実験をしておりましたので、習い始めた頃は3ヶ月に1度くらい、マイクロピペットの分注容量を電子天秤で計測するように言われていました。分注する液量に誤差があると結果にもそのまま影響が出る可能性があったので、精度は大切という姿勢は昔からあります。

研究室の中でも、特に気にしている人は自分でもたまにメンテナンスしたり自分で測ったりしていますね。クリーンベンチ内で培養細胞を扱うマイクロピペットは共有にしているので、なんかこのマイクロピペットは分注量が設定に対して少ない気がするなという時は、点検して洗ったり、中の部品を交換したりしていますね。

また、マイクロピペットは皆が毎日使うものであり実験精度に関わりますので、点検などのやり方を知っている必要があると思います。ニチリョーさんのようなメーカーが直接一番正しいやり方を講習して頂けるのはとても安心で、本当に助かっています。

弊社の講習会やメンテナンスが日々にいかされているということですね。

ニチリョーさんが定期的な講習会やメンテナンスを実施してくれているおかげで、ピペットの管理は助かっていますね。10年以上前にここにラボを作った時、講習会やメンテナンスを定期的に実施して欲しいという要望に応えてくれるメーカーはいないと思っていたら、ニチリョーさんが手を挙げてくれました。

一般的に学生さんばかりの研究室だと「どうやってメンテナンスするか」がさっぱり分からないし、そもそも自分でできると思っていない人も多いと思います。落としたり、何か手荒に扱ったりすると精度や再現性がずれてしまうことがあるというのは私自身も経験済みです。その点、自分自身で点検や交換を行ってマイクロピペットの状態を整えることができるのは、やはり講習会で習っているからだと思います。

またニチリョーさんは日本のメーカーなので、すぐに対応してもらえるという安心感が非常にあります。毎日これだけ使っていると壊れてくる部分は必ずありますので、すぐに相談できるっていうのは良いですね。

今後の抱負を教えてください。

個人的には新しいものを発見したい、楽しく研究したいと思いますが、学生には研究を楽しいと思ってもらいたいですね。今は、自分のやりたい研究のこともありますが、学生やスタッフの先生がやりたい研究の内容を理解し、アドバイスをしながらお互いを高めあっていきたいですね。

そして最終的には、治療薬の開発等、病気で苦しんでいる人の希望になりたいです。

研究室で主に使ってくださっている弊社製品(マイクロピペット)

Nichipet EXⅡ

本体丸ごとオートクレーブ滅菌、UV照射を可能にした
ニチペットシリーズベストセラーモデル

Nichipet EXⅡ:http://www.nichiryo.co.jp/product/pipette/ex/